風疹についてどのような病気か知っていますか?
聞いたことはあってもどのような症状や病気か知らない方が多いのではないでしょうか?
2018年10月現在、日本の首都圏(主に東京、千葉、神奈川)を中心に風疹が流行しています。
今回は、現在流行中の風疹についてお伝えします。
- 感染患者とワクチンについて
患者の多くは、予防接種歴がない、もしくは不明の30-40代の男性です。2018年8月1日の時点で39歳4ヶ月以上の男性と56歳4ヶ月以上の女性は定期接種の機会がありません。風疹は1回のワクチン接種で約95%、2回接種すると約99%の人が免疫を獲得します。今回の患者は90%が成人で、男性が女性の3倍でした。この感染患者の中で特に注意したいのは、妊婦への感染です。妊娠初期に風疹ウイルスに感染するとお腹の赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症する可能性があります。先天性風疹症候群は主に白内障、先天性心疾病、難聴などの症状を起こします。他には緑内障、色素性網膜症、紫斑、小頭症、精神発達遅滞、さらには胎児死亡、自然流産、早産に繋がることもあります。
- 症状について
風疹の症状は軽度の場合が多く、最大で50%の患者は症状が出ません。症状が出た場合には主に発熱、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が出ます。症状が出る場合の経過は感染後、8日目から後頭部のリンパの腫れが現れ、2週間目くらいから熱が出てその後、発疹が出ます。大人は子供と違って関節痛が出ることも多いです。症状だけだと他のウイルス性の感染症と同じような症状ですので、①予防接種歴、②海外や国内の旅行歴、③人が多く集まるイベントへ行ったか、④周囲に同様の症状の人がいるかなどの確認をして、風疹の感染リスクが高いかどうかの判断をします。
- 感染経路
風疹の感染経路は飛沫感染(咳やくしゃみをして飛び散った唾液などの飛沫が他の人の鼻や口に入り感染)と接触感染(皮膚や粘膜の直接的、もしくは手や環境表面(手すりやドアノブなどの多くの人が触れるもの)を介しての間接的な感染)です。予防策はマスクと手洗いをしっかりすることです。
感染力はインフルエンザよりも強く、日本の学校保険法では発疹の消失までを出席停止期間として設けています。風疹の感染症は最大で50%の患者さんの症状が出ないとお伝えしましたが、症状がなくても風疹ウイルスを排出しています。感染に気がつかないうちにウイルスを排出して、周りの人に感染させている可能性があります。予防接種して免疫をつけておくことが重要です。
- 予防接種の重要性
風疹はワクチンで予防可能です。風疹の予防接種を1歳以上で2回うけたことがない場合は、マレーシアではMMRの接種をお勧めします。風疹は感染力の強い病気です。かかる前にしっかりと予防をしましょう。
しかし、妊婦さんは風疹含有ワクチンが受けられません。さらに、受けた後、2ヶ月間は妊娠を避ける必要があります。妊娠の予定がある女性は前もってワクチンを接種して風疹の予防に努めましょう。また、妊娠を予定している女性や妊婦は打つことができないので、家族に妊婦がいる方は早めに予防接種を受けて妊婦に感染させないように注意しましょう。
また、30-50代の男性で風疹にかかったことがなく、ワクチンを打ったことがないあるいはわからない場合は、早めに予防接種を受けましょう。
MMRの予防接種は特別な副反応が起こることはないので、きちんとした接種記録がない場合は、念のため打っておきましょう。
風疹は予防が大切です。クリニックは体調が悪くなってから来るだけではありません。元気なうちに病気予防の為にご来院して下さい。